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熊本から上京して、国立に住むまで

ぼくはいま国立に住んでいます。
一年前の”ぼく”がいまのぼくを見たら、「えっ国立! それどこ??」という反応が返ってきそう。
まったく馴染みのなかった場所に住むことについて、”ぼく”はけっこう驚くとおもいます。

一年前まで熊本にいたぼくが、まさか国立に住むことになって、これまでの自分を振り返りながら『国立人』というサイトでコラムを書いている。その頃の自分からはまったく想像できないことです。

でもこうやって、いま現実として国立に住んでいる。その事実を、ゆっくりゆっくりとかみしめているところです。

そもそもぼくは、どうして国立に住むようになったのか。自分のこれまでを振り返ってみようと思います。

ぼくの地元は鹿児島の阿久根(あくね)というところ。九州最南端の”鹿児島”の一番北に位置する”海に面したまち”です。実家の近くの空き地からは東シナ海を眺めることができ、日が暮れるにつれて水平線にぽっかりと浮かぶ夕日は、いま思い返すとお気に入りの景色でした。

高校までの18年間を過ごした鹿児島。その後、大学進学と同時にお隣の県「熊本」で一人暮らしをはじめます。実家を出て自由になったぼくは
まずは自分がこれまでやってみたかったことに挑戦しようと思い、バイトに精を出すように。インターネット販売、牛丼チェーン店のワンオペ、イベント補助やカフェ店員、バイト自体はきつかったもの、働くことの対価としてお金をもらえることに、これまで経験したことのない喜びを感じるようになりました。

いろいろなバイトをやったと思います。そのなかでも特に面白いなぁと感じたのはタウン情報誌でのアルバイト。最初はアシスタントとして、取材に同行させてもらいながら、だんだんと単独での取材や執筆を任せてもらえるようになりました。

大学に通っているだけでは出会えない人に取材に行けたり、自分の考えていることを言葉という形として表現することができたり。働く=きついと考えていたその頃のぼくにとって、人の話を聞くことや文章を書くことは、まったく苦じゃありませんでした。そんな経験をする中で自然と「書く仕事はおもしろい!」と思うようになっていきました。

その後、「書くことを仕事にしたい」と考えはじめたぼくは、無謀にもフリーランスのライターとして働き始めます。幸いにも、業務委託として仕事をいただける企業がいくつか見つかり、なんとか食うには困らない程度は稼げるようになりました。

ただその頃から、熊本での暮らしもだんだんと閉塞感を感じるようになっていきました。これがなぜかというのは、いろいろな要因があり、まだうまく言葉にはできないのですが。暮らしよりも“仕事”に、特に閉塞感を感じているように思いました。

「もっと選択肢のある環境で、やりがいのある仕事をしたい。」
「仕事を通じて、いろいろな人とめぐり会いたい。」

そんな気持ちを満たしてくれる場所は、東京以外に思いつきませんでした。
「東京に行こう」と決めた2ヶ月後には、運良く都心で仕事が見つかり、身一つで上京していました。

最初に住んだのは三鷹にあるシェアハウス。鹿児島と熊本という穏やかな土地で過ごしてきたせいか、”東京の生活に慣れるか”それだけが不安でした。”体が押しつぶされる満員電車”や、” ビルばかりで視界の狭いまち”など、ネガティブなイメージも強かった東京で、今度は仕事ではなく”暮らし”に閉塞感を感じるのではないかという不安もありました。

しかし三鷹に住んでみて、地方出身者として抱いていた東京のイメージは、いい意味で覆されました。三鷹は、いわゆる“東京都心”と“都下”のちょうど中間にあるような街です。都心へのアクセスも良くて、比較的閑静なところが東京にもあるんだなと、安心したのを覚えています。

上京して数か月が経ち、じょじょに顔見知りも増え、仕事に慣れてきた矢先。ぼくは、だんだんと暮らしに対する欲が出てくるようになりました。三鷹よりもさらに暮らしやすく、都心から帰ってきてほっと一息つけるような、そんな街があるのではないか。そんなことを、その頃から頻繁に考えるようになったと思います。

そうして、国立駅のすぐ近くに見つけた物件の内覧の日、はじめて国立に降り立ったとき。まずは木々がきれに立ち並ぶ、抜けるような“大学通り”が目の前に現れました。駅周辺だからといって、建物が所狭しと立地しているでもなく、心地よい開放感もある。そのときは直感的に、“国立よい!”と心の中で叫んでいました。

東京だからといって、建物や人が“ギシギシ”のところばかりではない。国立のように建物と自然が共存している街もある。それは決して自然ではなく、人の手によって作られた部分も多いのかもしれないけれど、人が育ててきた街だからこそ、いま暮らしやすさを感じているように思います。

内覧した物件も、駅の近くにありながら物静か。ちょっと高台にあるので、窓からの見晴らしにも解放感があります。

“ここしかないな”

物件を探しはじめて初めての内覧先にも関わらず、その物件に引っ越すことを衝動的に決めたぼくは、三鷹暮らしに別れを告げ、国立で暮らし始めることに。上京して1年が経とうとしていた2017年12月のことでした。

吉田祐基 <ライター情報>