一人ひとりの個性で醸す麦酒堂かすがい

一人ひとりの個性で醸す

「ひと目で本格、敷居は低く、みんな満腹になって笑顔で帰る。小さな子ども、ご両親、そのご両親まで、3世代にわたって愛される長屋のレストランをつくろう。ここに来てよかった、国立に『かすがい』があってよかった、と言ってもらえる店にしよう」

店長の秋元将志さんは、「これは、亡くなられた先代社長から受け継いだ言葉です」と前置きをして、そう話してくれました。

もくじ

『かすがい』へご案内します

国立駅から旭通りを進み、その突き当たりから南へと伸びる小道を歩いていくと、まるで小江戸のような風景と、物語から飛び出してきたかのようなブロンズ像の小人たちが出迎えます。

その中心にたたずむのが、黄色いのれんが目印の『麦酒堂かすがい』です。

2021年6月6日にオープンした『かすがい』は、国立で100年以上続く酒屋のビアレストラン。

併設するビール醸造所『KUNITACHI BREWERY -くにぶる-』では、四季の巡りのように多彩なビールが醸されます。毎月のように仕上がる新作ビールと美味しい料理が楽しめるお店です。

アルコール度数5〜8%と高めのビールもあれば、アルコール度数3%以下なのに味わい豊かなビールも多く、「ビールが苦手」という人にも「飲みやすい」「また飲みたい」と好評です。

「飲める人も、飲めない人も、一緒に楽しもう!」は、『くにぶる』が大切にしているコンセプトの一つ。

『かすがい』の内外には、目にも楽しいこだわりがたくさんあります。

その一つが、四季折々の様相を見せるお庭です。「大学通りやさくら通りのソメイヨシノとはまた違う、日本古来の桜を国立の子どもたちにも眺めてもらいたい」という故・先代社長の想いから、ここには1本の「平安紅八重枝垂(ヘイアンベニヤエシダレ)」と2本の「祇園枝垂桜(ギオンシダレザクラ)」、計3本の日本の桜が植わります。

この桜の木は、現在200種以上もの桜の保存活動を行う京都の『植藤造園』から譲り受けたものです。

足元を見てみると、石庭の一部には『京都迎賓館』でも使われていた石が活用されているそう。お庭のアクセントにもなっているタイルには、国立の風景や『かすがい』ゆかりの物語が描かれています。ランドスケープデザイナーの桝井淳介氏が絵付けし、九谷焼の名門『上出長右衛門窯』が焼き上げたものです。

中へ入ると、1階はクラフト生ビールのTAP(タップ=注ぎ口)が見えるカウンター席もあり、カジュアルな雰囲気。ひとりでも複数人でも入りやすく、ベビーカーや車椅子の方にもうれしいバリアフリーになっています。

コロナ禍で閉じていた2階席もオープン予定。コースのお料理も現在開発中で、「満足感とリーズナブルが両立するよう、心を尽くしています」とのこと。

『かすがい』は、金属の「かけがね」を意味する言葉です。異なる材質のものをつなぐかけがねのように、美味しい食事とお酒を媒介に、さまざまな人々が集うことで、多彩なコミュニケーションが生まれ、彩り豊かな文化が醸成されていく。そんな未来を目指しています。

みんなで囲んで、笑顔になれる

日本で「ビール」といえば、大手ビールメーカーの黄色く透き通った苦味の強い“ラガービール”の印象がまだまだあります。でも実際は、世界には100種類以上のビアスタイルがあるのです。

濁っていたり、紅色を帯びていたり、ジュースのようなもの、ワインのようなもの、国産フルーツが使われているものなど、本当に多種多様。『かすがい』でビールの幅広さを初めて知り、驚かれるお客様は多いそうです。

『かすがい』を切り盛りしている総勢20名以上のスタッフも、そんなビールのように個性豊か。

多様なビアスタイルや、国内外のブルワリー(ビール醸造所)に詳しい人もいれば、ここに来てから学びはじめたという人もいます。

クラフトビールを扱った経験がある人、ない人、料理が得意な人、デザートが得意な人、丁寧な接客が得意な人、スピーディな接客が得意な人、掃除が得意な人など。働き方も、週1日から学業・本業と両立する人、『かすがい』専業で店舗運営に取り組む人まで、さまざまな人が集まっています。

「『建物の外観に惹かれて』『クラフトビールが好きで』『知り合いの口コミで』『家が近くて』と、『かすがい』を訪れるきっかけはさまざまです。すぐ隣に醸造所があって醸造士との距離が近いこと、ビールや料理やお庭の風景からいつでも季節を感じられること、期待感を持って応援してくださる地元のお客様が多いことなど、他にはない“特別”がたくさんあるからだと思います」

『かすがい』店長の秋元さんは、前職の和食チェーン店で10年間働き、店長職も経験した中で「大きな組織だと意見が通りにくい」と感じたこともあったそう。

「チェーンの飲食店とは違い、『かすがい』は地元に根ざした個人店です。チェーン店ではスタッフの動きがマニュアル化されていることも多いですが、『かすがい』にはそれがありません。『もっとお客様に喜んでもらうにはどうしたらいいか』を軸に、スタッフみんなで考えてチャレンジしています」

マニュアルは「失敗させない」ことを前提に作られるため、「もっとこうしたほうがいい」というアイデアが実践しづらく、窮屈に感じることもあります。一方、『かすがい』では「堂々とチャレンジしてみて、失敗しても次はこうしようと前向きに」と試行錯誤することを大切にしています。

「人それぞれのやり方を見つけて、一人ひとりが自然体で働ける店でありたいですね。『かすがい』には、まだまだやってみたいこと、改善したいこと、挑戦したいことはたくさんあります。店の伸びしろがたくさんあるので、スタッフにとっても『個性を伸ばせる』職場になっているのかなと思います」

「個性や得意分野って、自分ではうまく気づけないですよね。ここでは店長やスタッフとの会話の中で、それが自然と引き出されています。みんな世代は違うけどすごく仲がいいので、一緒に働きながらお互いの良いところが見えやすくて。すごく気持ちのいい接客ができる、写真や文章がすごく上手、ビールの知識が豊富で世界を広げてくれる、地元のお友達が多い、などなど、それぞれに個性や得意があります」

そう話すスタッフの近藤陽子さんは、国立産の米粉や野菜を使ったお菓子屋さん『和(なごみ)』として活動もしています。テーマは、「アレルギーのある子もない子も、一緒に食べて笑顔になろう」。

「初めて『かすがい』に来たとき、『みんなで囲んで、笑顔になれる』というお店のコンセプトを聞いて、自分の想いと重なるものがあって驚きました。スタッフみんな、大なり小なり共感できるところがあるんじゃないかな」

スタッフみんなで取り組んだことを尋ねると、
「『意外とこういうの得意じゃない?』ということを拾い上げてくださって、『これやってみない?』と任せてもらうこともあります。そういう流れで、私がデザートの開発を担当させてもらったこともありました。試作して、みんなのアイデアを反映させて、スタッフの『美味しい!』から生まれたデザートが『和の抹茶パンナコッタ』です」
と紹介していただきました。自分たちのアイデアを反映したメニューとして、自信を持ってお客様にお勧めするスタッフの姿もよく見かけるのだとか。

世代を超えて愛される店づくり。『かすがい』が人々を美味しい料理とお酒でつなぐ大きな『かけがね』となり、やがて国立に多種多様なビールがあることが、このまちの文化になっていく。そんな未来を醸していきます。

店舗情報

店舗名
麦酒堂かすがい
社名
株式会社草舎
HP
https://b-kasugai.com
問い合わせ
042-843-0990

東京都国立市東3-17-27

加藤 優 加藤 優

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