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はたらきかた じてんしゃで通勤

shujiworks手縫い革工房 shuji kawadaさん

気取りがなく自由な作風に、長年培われた革職人の技術力が光る。そんなshujiworksの革製品は、つくり手のshujiさんの生き方をそのまま映しているかのようです。

「18歳の頃は、特に“コレをやりたい”というものがなくて、友人たちのように進学や就職をする意味を見出せなかったんです。ただ、中学の頃の技術の先生の影響から“モノ作り”は好きで、そんな大人になりたいなと思ったんです。その先生は、授業が終わったらバスケ教えて、その後10キロ走って音楽室でドラム叩いて、改造ミニクーパーで峠を攻めて帰宅するぶっ飛んだ人でした」

先生の破天荒な生き方は、中学生のshujiさんには「かっこいい大人」の見本として眩しく映りました。

高校卒業と同時に、あたりまえのように進学か就職という二択を選び、それぞれの道を進んでいく周囲の友人たち。その中でshujiさんは「何がやりたいか自力で探そう」と、上京を決意します。

上京したばかりのshujiさんには後ろ盾となるものは何もなく、新聞配達をしながら、自分の居場所を探し出します。持っていたのは“モノ作りが好き“という思いと、自分の知らない世界やまだ見ぬ出会いへの並ならぬ好奇心、ただそれだけだったのです。

周りにいる「カッコイイ大人たち」から人生を学ぶ

「木工や鉄工など、紆余曲折しながら革職人の道に進みました。仲間とシェアして自分の工房を持ちながら、靴の学校に通ったり、色んな職人さんのところに丁稚奉公(でっちぼうこう)に行きました。同じ革職人でも、ミシンで縫い作る職人さん、効率よく注文を受けて大量生産する職人さん、手縫いをする職人さんなど、スタンスや働き方は色々あり、たくさんの先生が自分を育ててくれました」

革職人を目指すこと以上に、「学ぶこと」そのものへの喜びを見出したというshujiさん。革に触れるようになった21歳の頃、今でもshujiさんの生き方の指標となっている言葉に出会います。それは……、

「ある職人さんから聞いた、“偉大なるTの字を作る”という生き方です」

Tの字の横棒は“幅広い世界を知る”ことで、縦棒は“自分にできることを伸ばしていく”こと。どちらも兼ね備えることで、Tの字はどんどん大きく育っていきます。

「幅広い世界を知ることは、幅広い知識を得ることで、もっともっとたくさんの人と話ができるようになります。自分にとって面白く、興味が湧く話が聞けたら、学びの種が増えるんです。でも、話を聞くだけだと、人に頼られもしないし、独りよがりで深みの世界に行けません。自分にできること、“モノ作り”を学び続けることで頼りにされて、社会という場所に自分の居場所を見つけることができる気がします。横棒を伸ばせば伸ばすほど、縦棒は深く伸びていく……この歳になって、改めてそう感じています」

全国からいろんな人が集まってくる東京には、“カッコイイ人たち”との出会いがたくさんありました。出会いを通して、世界はどんどん広く大きくなっていったのです。

上京したての頃から20年近く経った今でも、常に新しいことに挑戦し続けるshujiさん。「革」のルーツについて身を持って知るため狩猟に行ったり、「食」の大切さを知りいろんな料理を試してみたり、はたまた演芸に足を運んだり。面白そうな人がいれば飛び入りで話を聞きに行くこともあるそう。

仕事以外で学んだことは、shujiworks手縫い革教室に関わる皆さんと話をする時にも、たまに役に立ってくれます。たとえば「大根を煮るとき面取りがかかせないように、革の角を削り丸くすればきれいに丈夫に仕上がります」と説明すると、料理をしている人は「なるほど!」と腑に落ちてくれることも。

「色んな人たちと話ができる教室という場は、自分の世界を広げてくれる、先生も生徒もはっきり線引きが出来ない場になっています。自分を先生だと強く意識したことはあまりもないですね。いつでも学ぶ気満々で臨んでいます」

一つの仕事を、ずっと続けていくために

「一つの好きなことを10年続けていれば、自然と生活できるようになる気がします」と、shujiさんは話します。

現在は、shujiworksに弟子入りをした社員と二人三脚で、手縫い革教室とオーダー・修理の仕事を請け負っています。

「弟子は正社員だけど、工房には週3日出勤してもらっています。あとの日は自宅で自分のペースで仕事をしたり、興味の向く勉強をしたりしているようです。一般的な週5日フルタイムの出勤だと、自分を伸ばす時間も取れないし、プライベートの時間も取れない、人生のどこかの時点で行き詰る気がするんです」

ライフスタイルの変化に合わせて、一つの仕事を続けていく働き方が見直されつつある昨今。shujiさんの言葉からは何かヒントを得たような気がしました。

「自分で裁量を持つ、自由と責任ある働き方だと思います。“仕事は楽しくないと続けられない”し、“自ら学び続けて成長できなければ続けられない”という、僕自身の考え方でもありますね」

何も持たずに上京した18歳の頃から好奇心のままに学び続け、29歳で国立駅の北側に工房を構えたshujiさん。20代のうちにさまざまな人との出会いを経験したことは、今でも大きな財産になっているそう。生活に余裕はなかったものの、楽しく20代を駆け抜けてこれたのも、“モノ作り”という大きな武器と、自分が自由なままでいられるような人間関係を築いてきたから。

国立駅の北側で、まるで山小屋のような風貌の扉に掲げられた「革」の字の看板を見つけたら、そこがshujiworksです。中に入ると屈託のないshujiさんに巻き込まれて、あなたの物語も始まるかもしれません。

shujiworks
http://leather-school.com