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はたらきかた じてんしゃで通勤

原田 莉佳さん

「子ども向けだけど、大人もしっかり読める」本作りを大切に、出版物の企画・編集を行っている「株式会社今人舎」。その思いに裏打ちされたていねいな本作りは、近年では日本を越えて、海外で評価される機会も増えています。

国立駅北口の静かな住宅街にたたずむ「今人舎」のオフィスを訪れると、木目を基調とした空間にはさまざまな分野の児童書がずらりと並んでいました。

背表紙に書かれたタイトルは、暮らしや自然、スポーツや科学など、数え切れないほど種類に富んでいます。身のまわりのテーマを取り上げ、そのものが辿ってきた歴史や文化、科学などの観点から深く掘り下げた内容は、子どもにもわかりやすく、大人目線でも勉強になることばかり。

「私たちは『今人舎』のほか、『こどもくらぶ』という呼称でも、図書館向けの児童書を企画・編集しています。先生や司書さん、親御さんなどに手に取ってもらって、本から得た知識を子どもたちにも伝えてもらえるように、大人向けの詳細なコラムも充実させているんです」

そう話すのは、2児の母でもある編集部マネージャーの中嶋さん。

社員20数名の半数以上が編集者だという「今人舎」では、定期的に新卒採用を行っているため、風通しの良い雰囲気で20~60代の幅広い年代の社員がはたらいています。

「編集プロダクションでこの人数を抱える会社は多くありません。新卒を募集している会社も少なくて……。その中でも『こどもくらぶ』の幅広いラインナップを見て、いろんな分野の本の制作に携わることができるんだろうな、と感じたのが入社のきっかけでした」

現在、入社2年目の原田さんはそう話します。入社当初のことを伺うと、4月1日から実務が始まり、中嶋さんとともに企画を任されたというので驚きました。

「未経験からいきなり編集の仕事をさせてもらえたんです。はじめは何が良いのか悪いのかもわからなくて戸惑いの連続でしたが、先輩たちにアドバイスをもらいながら1つ1つ進めていきました」

電話1つをとっても常にまわりの先輩が気にかけてくれ、「受け答えをこうしたほうがいいよ」とアドバイスをくれることがありがたく、職場の風通しの良さを実感したといいます。未経験から実践を通して成長できるのは、こうした小さなコミュニケーションの積み重ねがあるからこそかもしれません。

未来へと続く、「今人舎」らしい本作り

原田さんが利用したという新卒採用サイトでは、500文字程度の志望動機を第1次選考にする会社が多い中、「今人舎」の課題は一風変わっていたといいます。

「志望動機や書評のほか、『この本にどのようなページを作りますか』という課題もあり、『この会社ではこんな仕事をしているんだ』とわかって興味が湧きました。実は、ここで最初に任された仕事は、入社試験の時に私がプレゼンをした企画だったんです。その企画を実際に出版社に通してもらえて!代表の稲葉にも『こんな運のいいことはそうないよ』と言われています」

その本を見せてもらうと、「家事」というテーマについて歴史や科学などの観点から掘り下げた内容で、洗濯機の使い方や正しい雑巾の絞り方などについても、写真やイラストで丁寧に説明されています。子どもだけでなく1人暮らしを始める若者にも役立ちそう。「私も社会人になってから1人暮らしを始めたので、制作を通して勉強になったことばかり」と原田さんははにかみます。

昔から、いろんなことへの興味が尽きないという原田さん。植物にも興味があり、学生時代にはお花屋さんでアルバイトをしていたほど。「思い立ったらすぐに行動してしまう性格。1つのことに限らず、いろんなことをやってみたい」と話す原田さんにとって、児童書の編集はぴったりな仕事なのかもしれません。

「国立に初めて来たのも、入社試験の時です。ゆったりしていていいなぁ、というのが第一印象でした。現在は小平の女子寮に住んで自転車で通勤しているので、通勤ラッシュもなく、ごみごみしていなくて働きやすさを実感しています」

そんな原田さんは、将来の目標について「1人立ちして、先輩たちのように自分のシリーズを持てるようになること」だと話します。

「先輩たちは個性豊かで、理科系やスポーツ系など得意分野も人によって様々です。とにかく仕事のバリエーションが豊富なので、まずはいろんな分野を経験したいと思っています。そのうち『この分野なら私』と頼ってもらえるものを見つけたい」

原田さんの仕事に対する姿勢からは、ものごとに真っ直ぐ向き合っていく意欲を感じました。

「今人舎」では編集プロダクションとしての企画のほか、自社出版本の企画にも力を入れています。どちらの仕事においても、編集部員たちは「今人舎らしい本作りとは何か」を常に問いかけ、追及しているといいます。

本は、未来へと残されていくもの。図書館に入れば5~10年は置いてもらえる、と原田さんは話します。未来の子どもたちへ託されていくであろう「今人舎らしい本」を生み出す仕事は、斜陽産業と言われることの多い出版業界の中でも、大きな意義を持っているのかもしれないと感じました。

株式会社今人舎 こどもくらぶ
http://www.imajinsha.co.jp