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はたらきかた 修行してから起業

ながお 光太郎さん

小さな雑居ビルのエレベーターを4階に上がると、やわらかい光が差し込む箱庭のような「Hair Works ぱいんゆ」の世界が広がります。

施術台は1台のみ。鉢植えの植物たちが光を受けて育ち、その周りではアンティークの道具がゆるやかな時を刻んでいます。

この美容室を1人で切り盛りする店主のながお光太郎さんは、2008年の開店以来、お客さまとの1対1のコミュニケーションを大切にしてきました。

ながおさんにとって、「ぱいんゆ」は自分らしさを表現する場。主に国立市内のお店から“好きなもの”だけを買い集め、自分の“好きな雰囲気”を創っているというインテリアは、ながおさんの繊細で優しい人柄をそのまま映し出しているようです。

「僕は色んな文化がミクスチャーされている様子が好きなので、置いている家具も日本の古道具だったり、アメリカやイギリス製だったり、自分の手作りのものだったりと様々です。全体的に、すっきりとした『シュールな感じ』を意識しています」

1人だと大きなことはできないけれど、小回りがきくので、より繊細に自分らしい表現ができます。お客さまも感性の近い人が多いので、話す内容もぐっと深くなり、外ではできないような話や、深い内面の話になることも多いそうです。

自己表現は苦手。だからこそ好きなことを突き詰めたい

お客さまと1対1で“狭く深く”向き合う施術は、ながおさんの最も得意とするスタイルです。

お店を構える前に大きな美容室でスタイリストとして働いていた頃は、一度に5人のカットを担当することもあったそうです。もともと大勢の中で“浅く広く”コミュニケーションをとることが苦手だったこともあり、思うようなカットができないこともあった、と当時を振り返ります。

ながおさんが初めて「美容師」という仕事を意識したのは、中学生の頃でした。
「もともと内向的なタイプで、自己を表現することが苦手でした。足の速さ、絵の上手さというものを持たない僕の自己表現の手段は、ファッションやヘアスタイルだったんです」

今でも、人と接することは好きだけれど、決して得意ではないといいます。そんな自分が人や社会と繋がるため、ファッションやヘアスタイルを介してコミュニケーションをとる「美容師」という職業は、自分に合っているのではないかと感じたそうです。

高校卒業後、親や先生の勧めで一度は設計会社に勤めますが、思い切って退職。カナダのワーキングホリデーに参加します。
「その時、自分の好きなことを思いっきりやれて、自信がついたのだと思います」

素直な気持ちに立ち返ったとき、再び辿りついたのは中学生の頃と同じ「美容師」でした。ながおさんはすぐに通信制の美容師学校に入学し、アシスタントから修行を始めます。

「修行をしながら、いつしか漠然と『お店を持ちたい』と思うようになっていました。5歳の頃から国立に長い間住んでいたこともあって、国立以外でお店を構えるという考えはありませんでしたね」

国立で美容室を1人で切り盛りする知り合いを何人か見ていたこともあり、1人でお店を持つことに憧れもあったそうです。

「店主の個性やこだわりが空間に現れていて、すごくかっこいいと思っていたんです。同じように、自分でも美容室という空間で自己表現をしてみたい、という憧れが募りました」

国立には美容室のみならず、カフェや雑貨店など、若く個性的な店主が1人で切り盛りするお店が増えています。「国立のまちには、自分の個性や感性を受け容れてくれそうな雰囲気があるのかもしれません」と、ながおさんは笑顔で話します。

個性的なお店のまわりには、新しく自分のお店を構える人、そこに住みたいと思う人など、自然と感性の近い人たちが集まります。そんな彼らの「好きなことを大切にしたい」という想いが、国立のまちののびやかな雰囲気を創り出しているのかもしれません。ゆるやかな時間が流れる「ぱいんゆ」でながおさんと話をしながら、そんなことを感じました。

Hair Works ぱいんゆ
http://www.painyu.com