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circus セキグチテルヨさん

夜がはじまったばかりの空のような。深い海の底のような。印象的な紺色の壁に、木の家具のぬくもりが映える小さな空間。国立駅南口から線路沿いを西側へ歩いて10分ほどの所に、そのカフェ「circus(サーカス)」はあります。

「こんにちは」

明るい声を響かせて取材スタッフを出迎えてくださったのは、店主・関口晃世さん。まるで、サーカス開演前のワクワク感を宿したように輝く目が印象的な女性です。

「2013年9月にオープンしたお店です。今は、家族連れの方や年配のご夫婦、おひとりでいらっしゃる20〜30代の女性など、様々なお客様にご利用いただいています」


地元民に愛され続ける老舗の飲食店が多い国立で、すでに幅広い世代の支持を得ている関口さんにその秘訣を伺うと、「極力しゃべりかけないようにしています」という答えが返ってきました。

「国立の心地よさって、町のみなさんの“距離感のちょうどよさ”から来ていると思うんです。あまり人のことを干渉したがらないし、深入りもしない。でも、決して仲が悪いわけではなく、会えば楽しくできる。そんな大人な人達の、大人な町ですね」

国立のことをそう感じるのは、お店を始める前の修行時代を「高円寺で過ごしたからかもしれません」とおっしゃいます。


「高円寺はもう少し、若い町だという印象です。私は栃木出身なのですが、高校生の頃から憧れていたのもあり、学校を卒業後、20歳の頃から住んでいました。そこでいくつかの喫茶店やカフェをバイトで掛けもち、料理やお店づくりの勉強をしてきました。無国籍料理の店、和風カフェ、カレーを出す店、とタイプの違う所でやってきたので、circusというお店は、その経験のミックスでできていますね」

一軒のお店でじっくりと、ではなく、複数の人のやり方を見て吸収してきたことが、関口さんの財産であり、強みになっているようです。

色々見てきた今、大切にしていること。

「お世話になったお店の系統はバラバラですが、どのお店の方も『妥協がない』という点では同じでした。料理の味や盛り付け方はもちろん、店内に飾る花の生け方まで。細部に至るまで決して手を抜かない姿に、影響を受けましたね。私もそういう人間になりたいなって。今でも怠けそうになる時は、その方々の顔を思い浮かべて、気合いを入れ直しています」

そんな関口さんが、今度はオーナーとしてcircusで働くスタッフに言葉にして伝えていることが、1つだけあるといいます。

「『丁寧な接客を』ということです。キッチン内のことも、早く効率よくやろうとしなくていいから、お客様に嫌な思いはさせないようにと。洗い物の音を立てたり、器を割ったり、そういうことを避けたいんです。ここでの時間を気持ちよく過ごしていただけるように、気を配りましょう、ということだけですね」

定休日に尋ねてくる取材スタッフにまで気を配ってくださったのでしょうか、テーブルに飾られた黄色いユリのかわいらしさが、関口さんの笑顔と重なります。最後に今後のことを伺うと、迷いない答えが返ってきました。

「circusを30年続けることです。働いてきたお店の多くが30年以上続いていたので、まずはそこを目指します。でも、今の形にこだわらず、その時々の自分の生活スタイルにあわせて変わっていってもいいかな、と思っているんです。circusの名前があれば、喫茶店とか、お惣菜屋さんになったりしてもいいな、と」

色々見てきたから、何にでもなれる。そのしなやかさが、関口さんという女性の魅力であり、強さなのでしょう。circusに流れる心地よさは、そんな関口さんと国立という町の“相性のよさ”から来ているのかもしれません。

circus
http://twilight-circus.com