大人のための駄菓子酒場

大人のための駄菓子酒場

レトロだけど新しくて、ちょっとトガってる。駄菓子バー『スナックトミタ』には、夜な夜な駄菓子好きな人やクリエイター、経営者や大学生が集まって、語り合っているとかいないとか……。

もくじ

子ども心を忘れない大人の遊び場

スナックトミタ

昼間は国立市内の大学に通ったり、仕事をしたりしているけれど、夜になると国立を出て、お隣の立川市の繁華街で遊んだり飲んだりする人の姿をちらほら見かけます。そんな人たちは国分寺・府中方面に移動して、『晴見町商店街』のスナックトミタへ足を運んでみませんか?

夜の商店街でひときわ目を引く『スナックトミタ』の赤い看板。中に入ると、昭和の喫茶店のようなレトロゲームのテーブル型ゲーム機が置かれ、壁にはレコードが並び、食べ放題の駄菓子棚やお酒、ご当地サイダーもずらり!

スナックトミタ

「このテーブル型筐体(きょうたい)は、府中市内の製造会社『徳力精工』が自社製品として開発した新品なんです。中のアーケード基板を入れ替えれば、いろんな懐かしのゲームが楽しめますよ」と、マスターの富田良治(とみた・よしはる)さんは話します。

スナックトミタ

スナックトミタは、まず1000円の入場料を支払うと、店内の駄菓子が食べ放題になるシステムです。ドリンクは別料金で、オリジナルサワーやハイボール、クラフトビールなどから選べます。食事は持ち込み可能で、お隣の『パスタと定食のキッチンマサ』で料理をテイクアウトして食べるのがオススメとのこと!

スナックトミタ

スナックトミタは、昼間は無人のWi-Fi・電源完備のフリースペース『晴見町チャレンジショップ』として開いています。子どもは10円ゲームを楽しんだり、大人は一杯100円でコーヒーを飲みながら、リモートワークの合間にゲームやガチャで遊んだり、貯金箱に100円を払えばブタメンやしんちゃんラーメンなどのカップ麺を食べることもできます。

スナックトミタ

そして夜になると、富田さんや近所の大学生がマスターやママになり、スナックトミタの灯りがともるのです。

昼間は無人、夜はスナック。その営業形態の理由は、富田さんの“昼間の本業”にありました。

駄菓子屋は黒字事業!

スナックトミタ

富田さんは元ITエンジニア。中小企業診断士の資格を取り、現在は中小企業のコンサルティングをしています。コンサルタントとして関わる中で「面白い」と感じたら、自身も経営者側にまわり、経営に参画してしまうこともあるそうです。

「常にゼロからイチを作りたい。そこに楽しさを感じます。楽しいことをやっているから、多少リスクがあっても気にしません」

スナックトミタ

業種はIT関係だけでなく、製造業、卸売業、出版業、小売業、飲食業など多岐にわたり、既存事業だけでなく新規事業の立ち上げに携わることも多いそうです。

そんな中で「駄菓子屋」は、いつかやってみたい事業の一つでした。理由は「地域に子どもたちの居場所が増えて、商店街が賑やかになる方が面白い」から。

スナックトミタ

2022年、晴見町商店街の空き店舗を借りて、事務所を併設した駄菓子屋『富田商店』を立ち上げました。自販機による24時間営業の駄菓子屋で、冷凍食品も買うことができ、昼間はおじいちゃんが店番をしています。しかし、その一店舗だけでは経営的には赤字でした。

2024年、徒歩圏内にもう一つ物件を借りて、新しい仕組みの店舗をオープン。駄菓子屋はトータルで黒字に近づいていったのです。

まちの駄菓子屋は全国へ

スナックトミタ

「実は、スナックトミタは全国展開を見据えています。2024年には、名古屋に2店舗目の『DJ駄菓子酒場スナックトミタ栄店』をオープンしました。でも、多店舗展開するには仕組みを整えるだけではダメで、その店舗の経営を楽しみながら参画してくれる人の存在が不可欠です。そんな課題を一つずつ乗り越えて、将来的に100店舗を目指したいと思っています」

駄菓子屋と駄菓子スナックを開いた富田さんのもとには、やがて全国から人が訪ねてくるようになりました。

スナックトミタは、入場料1000円で駄菓子食べ放題になるだけでなく、事前に営業カレンダーをチェックして、富田さんがお店番をしていれば経営相談やコンサルティングが受け放題。

なので、経営者や起業家、若者たちの相談が持ち込まれることもよくあります。「基本は背中を押すことしかしていません。経営は手段でありノウハウです。やるかやらないか迷っている人には、やれる方法を伝えています」と富田さん。現在は、起業を目指す若者が毎週のように訪れています。

スナックトミタ

スナックトミタに全国から人が訪れるのは、富田さん自身がコンサルティングや創業塾の講師として、全国に出向いているのも理由の一つ。

毎年、大勢の起業希望者が創業塾を受講し、卒業していきます。富田さんは八潮市、姫路市、君津市の創業塾で講師をしていますが、毎年創業者が増えて、新しいことが生まれていくのが何よりも面白いそうです。

スナックトミタ

「創業を考えるきっかけは、明確なビジョンがある人から、会社を辞めたい、なんとなくという人まで、さまざまです。でも、みんなに共通しているのは『やりたいことをやって生きていきたい』という気持ち。その方法がわからないだけなんです。自分も40歳で会社を辞めて、今は自由にやりたいことができるようになってすごく楽しい。創業塾では、やりたいことをやって自由になる、そのための方法を伝えています」

スナックトミタ

駄菓子屋をやってみたことで、新しく広がった世界もありました。それは、子どもに大人気の駄菓子の付録シールを模した、自作シールを介するコミュニティの存在です。

オリジナルのシールを手がけるクリエイター、シールの収集・交換を楽しむファンたちに、富田商店やスナックトミタは「自作シールの聖地」として知られるようになりました。

スナックトミタ

多彩でオリジナリティあふれるシールはもちろん、交換のコミュニケーション自体を「面白い」と感じた富田さんは、オリジナルの交換用のシール台帳も作り、出張先でもシール交換を楽しむようになりました。台帳は昼間も店舗に置いてあるので、セルフで交換することもできます。

経営者仲間、起業家、学生、駄菓子好き、そしてシール好きが集まる『スナックトミタ』。一つのチャレンジからワクワクする世界が広がる、そんな駄菓子スナックに、あなたも一歩踏み込んでみませんか?

店舗情報

店名
スナックトミタ(晴見町チャレンジショップ)
HP
https://harumicho.shop/
問い合わせ
https://harumicho.shop/contact/

東京都府中市晴見町1-12-11 102

加藤 優 加藤 優

この記事をシェアする