一人ではできないことを実現するにはどうしたらいいのだろう。
『国立人』は『10minutes(テンミニッツ)』という考え方からスタートしています。
自分から半径10分圏内を自分のまちだととらえてみよう、という考え方です。
10分圏内を知る手段は、徒歩の人もいれば、車や自転車、車椅子の方もいるかもしれません。
そこには「自分」や「相手」だけではなく、
「まち」という視点を、仕事や暮らしに導入してみようという意図がありました。
自分や相手が良ければいいのではなく、「世界」や「社会」よりは少し想像がしやすい、
自分ごとになりやすい「まち」への一歩が、「まずは10分圏内」だったのです。
その後、個人が運営していた国立人は、『三画舎』という会社で運営することになりました。
三画舎は「まちづくり」の会社ですが、「まち」のためならなんでもする会社ではなく、
「まち」をミッションの一つに据えて、できることをする会社だと思っています。
「まち」を新しくとらえる人や、自分ができることを増やしたいと思う人の数だけ、まちづくりは広義になっていくような気がしています。
これまで自分の思うまちづくりの根底には、
自分を育ててくれたまちへの「恩返し」がしたいという思いがありました。
それから、東京の国立というまちに新しく関わるようになってしばらく経ちますが、
どこかで受けた恩はそこに返すものではなく、巡らせるものだと思うようになりました。
恩は巡るもの。恩を巡らせよう。
そう思っているうちに、それは巡り巡って自分に返ってきます。
何かが自分に直接返ってくるというよりは、将来、自分を取りまく環境が、少しずつより良いものになっていきます。
恩は巡るもの。
新しい人や、新しい街へ。
まちめぐり、ひとめぐり。
(編集・ライター / 加藤優)