仕事でじぶんのことばかり話してしまう人へ2023年10月01日(日)

プロジェクトや仕事の打ち合わせでは、そこに関わる「自分」の視点だけでなく、仕事仲間やお客さんなど様々な人の視点を想像しながら案を出します。
そこでの話題は「プロジェクト」や「仕事」が中心です。たくさんの人が多角的な視点を持ち寄ることで、思いもよらないアイデアや改善案が出ると、ワクワクしながら打ち合わせが進みます。

そういった仕事の場で、「自分」だけを主語にして話をしてしまうのは、勿体無いなと思います。
「自分」の話をする場ではないのに、「自分」の話ばかりしてしまう。
近頃、そんな人が増えているようです。
コロナ禍の閉塞的な環境下は、自分の内面に目を向ける機会になりましたが、コロナが明けたばかりの今、客観的な視点、俯瞰の視点が持ちづらくなっているのかもしれません。

「自分」を主語にし続けると、視野が狭くなっていきます。
それ以外の視点を得るための学びや想像力が、どんどん枯渇していきます。
主語が「自分」ばかりになると、行動も変化します。
「自分はこういう人だから」「でも、自分はこうだから」「これまでの自分の分野と違うから」という言葉が出るようになり、
「だから、できない」という結論になります。

仕事は、究極的には生きるため、ひいては自分の人権のためにするものではあります。
仕事を通して社会とつながることは、これまでの自分の範疇を超えた視野や知識をもたらし、自分の可能性が広がると言う側面も持っています。
「自分」という主語に閉じこもるのは楽なことです。一方で、これまで知らなかった本当に好きなもの、ワクワクするものにも触れられず、
「だから、できない」状態からどこへも進めなくなっていきます。

もちろん、そのことは十分にわかった上で、今は「自分」のことで精一杯ならば、
社会に出るのはお休みして、ゆっくり「自分」と向き合う時間を持ってもいいかもしれません。

仕事には必ず、「自分」以外の他者がいます。
それはお客さんだったり、クライアントやクライエントだったり、仕事仲間だったり。
「自分」だけのための仕事は存在しません。
仕事は社会とつながることで、社会には大勢の他者がいます。そこにいる全ての人のためではなく、まずは目の前にいる他者のために、仕事をはじめてみませんか。

(編集・ライター / 加藤優)