木の下に人は集う

木の下に人は集う

みずみずしい新緑の季節は、空気の澄んだ山や公園に出かけたくなります。自然の中でスポーツをしたり、おやつを持ってピクニックに出かけたり。

そんなことを思いながら国立のメインストリート『大学通り』を歩いていると、まるで公園の中にいるような気分になっていることに気が付きました。

写真は大学通りの歩行者専用道を写したものですが、街の人やビジネスマン、学生の多くが利用しているメインストリートとは思えないほど、のどかな風景が広がっています。

散歩をする人のためにほどよい感覚でベンチが置かれ、木漏れ日の中で本を読んだり、子どもと一緒に遊んだり、お弁当を食べている人も。

色々な木の下での過ごし方を眺めながら歩いていると、どこからかウグイスの鳴き声が聞こえてきました。行き交う人の歩みも心なしかゆったりしています。(せかせか歩いている人がいません)

ゆっくり20分ほどかけて歩くうち、国立駅前に到着しました。国立には天気のいい日に遠回りしながら勤め先へ向かうという人が多いのですが、日々の忙しさで季節を忘れがちな社会人にとって、四季が移ろう通勤ルートは結構貴重。毎朝リフレッシュできそうです。

平日も休日も思い思いに過ごす人が多い大学通りですが、2018年の春には、道沿いにストリートピアノを設置する『Play Me, I’m Yours.(私を弾いて)』というイベントが開催され、たくさんの人々と音楽で賑わっていました。

国立は、大正時代まで何もない雑木林だったところを、土地開発会社により区画整理されて生まれた街。なので、大学通りの木々も当然、人の手で植樹されたもの。自然そのものではないのですが、国立暮らしをしていると改めて「人のあたたかみのある並木道」だと感じることができます。

木の下で過ごす人々のほか、この風景を守るために木のメンテナンスをしている人々もいるそうです。多くの人の手によって育まれてきたものだと思うと、当たり前の風景でないような気がしてくるので不思議です。

桃李成蹊(とうりせいけい)ということわざがありますが、いつの時代でも、人は心地よい木の下に集まってくるのかもしれません。

(書き手:加藤優/国立暮らし1年目)

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「国立暮らし1年目」とは

外から見たときと、内側から見たときのイメージは少し違います。そんな『国立暮らし1年目』だからこそ見えてくるものを綴るコラムです。

加藤 優 加藤 優

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