国立駅前から自転車をこいで20分ほど南へ下っていくと、田園や畑の残るのどかな光景が広がっています。
そんなあるところに、古い小さな礼拝堂がたたずんでいます。その目の前に広がっているのは、人々が集う中庭のような“滝乃川学園ガーデン”。
この美しいガーデンには、2016年まで谷保にあった「くにたち蜜源ガーデン」の植物が移植され、その翌年の3月から、「月イチゆるゆるお手入れ活動」として地域に開かれるように。やがて、土作りや花の選定、野菜の種まきなど、参加者の手によって少しずつ形作られていきました。
参加の方法は、「こんにちは!」と声をかけるだけ。小さなお子さんからお年寄りまで、本当にいろんな方が入れ替わり立ち替わりガーデンを訪れます。
のんびり芝生でくつろいだり、花にかこまれた礼拝堂を写真に撮ったり。
ふかふかの土に触れて、畑作業をしたり、収穫を手伝ったり。
はじめての人も、一緒にガーデンでの作業を楽しむうちに、どんどん顔見知りの輪が広がっていきます。みんなで楽しみながら手入れをしているガーデンでは、年齢や性別、立場などの垣根はないのです。
このガーデンのある『滝乃川学園』は、明治24年に日本初の知的障がい者のための教育・福祉を手がける施設として創立された、歴史ある学園です。
「この場所を、どんな方でも気軽に参加して交流できる、憩いの場にしていきたい」と話すのは、プロジェクトコーディネーターの一人である、木村智子さん。
滝乃川学園ガーデンの立ち上げに関わった人たちの思いの根幹には、「様々な事情や障がいのあるなしにかかわらず、すべての人がのびやかに共に暮らせるまちにしたい」という願いがこめられているのです。
ガーデンの公開からおよそ1年半が経ち、敷地内には気持ちのいい緑の芝生や、いちごの小径、学園の利用者さんも収穫に参加できるサツマイモ畑も生まれました。
ガーデンには、地域に拠点を構えるプロのガーデナーや、遠く所沢や横浜から応援にくる植木職人さんなども欠かせないといいます。そうした人たちの協力もあって、参加者はガーデニングの基本や畑づくりを体験しながら学んでいけるのです。
小さな種は芽を出して、やがて豊かな実りへと。
次回のお手入れには、滝乃川学園ガーデンプロジェクトのブログでご確認の上、お越しください。(一緒にガーデンづくりを楽しみたい人は、汚れてもいい服装でご参加ください)
(書き手:加藤優/国立暮らし1年とすこし)
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外から見たときと、内側から見たときのイメージは少し違います。そんな『国立暮らし1年目』だからこそ見えてくるものを綴るコラムです。