「水が出ない」「トイレが壊れた」「エアコンを取り替えたい」
そんな時に、すぐ頼りになるだけでなく、安心して仕事を任せることができる、地域密着の『ニッポー設備株式会社』。
1968年の創業以来、官公庁からの公共工事で技術力を蓄積しつつ、地元の小さな設備工事も手がける中で、その対応の速さ・丁寧さは口コミで広がり、地元での信頼を築いてきました。
2009年に2代目社長・田中友統(たなか・とものり)さんに代替わりし、2020年からはより地域に密着した企業を目指して、困りごとを気軽に相談できる『住サポ』事業をスタート。
今、ゆるやかに代替わりの風が吹いているニッポー設備。キッチンカーが訪れ、マルシェが開催されることもある、のどかな谷保の畑に囲まれた社屋をのぞいてみませんか?
「前は企画や営業の仕事をしていましたが、BtoB(法人向け)が中心で、自分の企画でお客さんが喜ぶ姿を見る機会はありませんでした。ニッポー設備の住サポ部門はBtoC(個人向け)なので、地域の皆さんと直接お話ができますし、リフォームや工事で現場がみるみる綺麗になっていく様子、それに喜んでくださる様子を見れるのが嬉しいですね」
そう話すのは、ニッポー設備最年少の藤井孝夫(ふじい・たかお)さん。
大手旅行代理店を早期退職し、建築設備業界は未経験。そのため、まずは失業期間を使って職業訓練校の住宅リフォーム科に半年通ってから、ニッポー設備に入社しました。
新人は、まずは工具や建材の名前を覚えたり、現場で先輩に指導してもらいながら、日々新しい技術を身につけます。
住サポ部門は、地域のお客さんのご自宅や店舗などのメンテナンス・リフォームを中心に手がけています。藤井さんの前職のスキルは、お客さんの困りごとをヒアリングする時や、施工の職人さんとの工事の段取りや調整を行う時に活きているそうです。
「前職での企画や営業は、関わる人々の協力がなければ成り立たない仕事でした。それは、地域のお客さん・協力会社の職人さんなくしては成り立たない、今の仕事でも同じ。どんな仕事でも、関わる人へのリスペクトが欠かせないと思っています。自分も会社や地域で欠かせない存在になれるよう、たくさんの人や現場に関わって、技術力や関係性を築いていきたいです」
職人さんの高齢化が進んでいる建築・設備業界では、藤井さんのような30代後半もまだ若手。
ニッポー設備が大切にしているのは、「小回りのきく工事」です。社員の教育を、決まった作業の習得にとどめれば、教育にかける時間やコストは削減できますが、地域の多様な困りごとには対応できず、かえってお客さんの時間的・金銭的な負担が増えてしまいます。
だからこそ、藤井さんたちニッポー設備の社員は多種多様な現場に対応するために、何年もかけて一生ものの技術を身につけていくのです。
「地域に必要とされて、いなくなったら困る。そんな会社を目指し続けることが、ニッポー設備の使命だと感じています。お客さんが暮らす地域の中に本社があって、働く人の顔が見える安心感も、重要なポイントです。私も早くお客さんに顔や名前を覚えてもらって、地域になくてはならない存在になりたいと思います」
社員の藤井さんと、社長の田中さんには、かつて旅行会社で働いていたという共通点があります。
田中さんは、新卒求人倍率20倍以上とも言われていた就職氷河期に、人気の旅行会社に内定・就職しました。しかし、当時のあまりにブラックな働き方や、「先輩たちが幸せそうに見えない」と感じたこと、自身の結婚などをきっかけに、父の田中保信(たなか・やすのぶ)さんが立ち上げたニッポー設備を継ぐことを決意しました。
「ニッポー」には「日々豊か」という意味が込められており、お客さんの豊かさはもちろん、社員やその家族の日々が豊かであることも大切にしています。
2020年に創立50周年を迎えてからは、工務店の業務効率化システム『住サポシステム』の開発や、国立の谷保に新社屋を構えるなど、大きな改革にも乗り出しています。
その理由を社長の田中さんに尋ねると、「やっぱり、社員の働きやすさのためだよね」とのこと。
工事の進行管理や顧客管理ができて、出先で見積書などの作成・印刷もできる『住サポシステム』は、業務時間の短縮につながりました。
さらに各地にあった資材や工具置き場を新社屋にまとめたことで、業務時間は大幅に短縮されました。
社内にはシャワールームや更衣室、ロッカーや喫煙所などの設備が充実しており、工事の後にシャワーを浴びてから打ち合わせに向かうこともできます。
「ニッポー設備は、急速な事業拡大はせず、実直な仕事を重ねて多くの方と信頼関係を築いていきたいと思っています。その中で、社員はそれぞれ個性を活かして、得意分野のプロフェッショナルを目指します。建築設備はニッチな業界なので、一番を目指すことも可能ですよ」
そんな田中さんの得意分野は「トイレ」。日本のトイレは綺麗で使い心地がいいことでも有名ですが、田中さんはその素晴らしい技術力や、メーカーごとの特徴を語れるほど豊富な知識を持っており、日本トイレ協会にも所属しているほか、「トイレのプロ」としてテレビ出演も果たしています。
一番大切なのは家族との時間で、シーズンには毎週末のように趣味のスキーに出かけている田中さんは、仕事もプライベートも充実。そのバランス感は会社全体の風通しのよさにもつながっています。
ニッポー設備には、前社長の代から勤めているベテランの現場監督もいます。本部長の矢島さんはその道約40年。かつては昔ながらの職人らしく、新人にも厳しいことで有名でしたが、藤井さんにとっては「おーい、最近どうだ?」と声をかけてくれる大先輩です。
直属の上司の堀さんは元美容師で、接客のプロ。お客さんからの指名率ナンバーワンです。
「現場では堀さんをはじめ、社内外の職人と協力しあって働いていますが、気さくな方ばかりで色々なことを優しく教えてくださいます。私も堀さんのように、指名が来る職人になれるよう頑張ります!」と藤井さん。
はじめは、小さな困りごとに丁寧に応えることにやりがいを感じて、それを続けているうちに、大きな案件につながることも多いというニッポー設備。
多種多様な技術を身につけていきながら、「人や地域とのつながり」を大切に、信頼関係を築いていくことで、必要とされる存在になっていく。
それがニッポー設備の「地域密着」であり、田中さんが次世代へと継いでいきたい想いでもあります。
東京都国立市谷保619