2024年春、国立・富士見通りの『みんなのコンビニ』で働いていた池田さんが北海道に移住してから約1年。
国立と北海道、それぞれの地で季節を感じながら続けてきた往復書簡も、今回が最終回となりました。
たとえば国立で桜が咲く頃、北海道ではどんな風景が見られるのだろう。
国立と北海道の風景や出来事を対比させることで、普段は何気なく通り過ぎてしまうものごとに、新しい意味を見出していけたらと思います。
離れていても、共に季節を見つめるように続いた1年分の手紙。
今回は、その締めくくりにふさわしい、少しだけ立ち止まって振り返るようなやりとりです。
池田さんへ
お久しぶりです!
春が過ぎ、国立は毎日30度を超える日が当たり前になってきました。
今年は立川の昭和記念公園にも足を運び、お花見をしてきました。
桜って、毎年あっという間に咲いて散ってしまいますが、
その限られた期間に、みんなが桜の下で集う文化ってやっぱりいいなぁと、しみじみ思いました(笑)
最近は、新聞の折込チラシで盆踊りや夏祭りの情報を見るようになって、
「もうそんな時期かあ…」と思うと同時に、「まだ7月なのに…!」と夏の暑さにバテ気味です。
毎年のことながら、熱中症には気をつけなければですね……。
そして、この往復書簡も気づけば約1年。今回が最後の1通ですね。
池田さんの便りからは、観光ではわからない北海道の空気感や自然の厳しさ、
広い土地ならではの暮らしのリアルが伝わってきて、毎回とても楽しみにしていました。
遠く離れた土地で新たな暮らしを始めるということは、
きっと大変なこともあると思いますが、その分、自分自身の輪郭がクリアになっていくような、
新しい自分と出会えるような感覚もあるのかなと思っています。
私自身も、手紙を書こうと国立の街を改めて歩いてみて、
「意外と野菜の直売所が多いなぁ」とか、「この通り、すてきな風景だな」など、
普段気づかないことにたくさん気づくことができました。
北海道にはまだ行ったことがないのですが、池田さんのおかげで、ぐっと身近に感じられるようになりました!
いつか旅行で訪れようと思っています。
この1年、やりとりをしてくださって本当にありがとうございました!
国立人編集部 中村より
中村さんへ
お返事ありがとうございます!
1年前の春は「桜が見られない!」と少し拗ねていた私ですが(笑)
今年は東京への帰省と重なり、しっかりと桜を楽しむことができました。よかった……。
もう早いことに移住2年目となりましたが、都市部から地方へ移り住むと、人との関係性の距離感に戸惑ったり、時に暮らしの土台が違うことでの息苦しさを抱くこともあったりで、私もまだまだ葛藤する場面は多いです。
「仕事」「プライベート」「暮らし」全てに境界線がなく、言うなればオン・オフがなくて、ずっとオン状態なんですよね。これは顔の見える関係性の中で、ある程度の生活が完結するからだと思います。
決してすべてが美しいことばかりではないけれど、
・助け合いが当たり前なこと
・生活の中に“自分たちでつくる”感覚が根づいていること
・町の未来について、ちゃんと意見を持ち、考える人がいること
など、“自分ごと”として地域と向き合う人が身近にいるのは、大きな違いです。
東京で暮らしていた頃は、全ての境界線がきちんと引かれていて、
自ら情報を取りにいかないと、他人事のまま過ごしてしまう部分もありました。
今の場所は、社会との距離が近い分、自分の生活への影響も感じやすく、
そのぶん考えたり、行動するきっかけも増えました。
どこで暮らしていても、良い面・悪い面はあると思うので、
自分なりに折り合いをつけながら、丁寧に暮らしていけたらと思っています。
この往復書簡を通して、国立と北海道を俯瞰するように見られた1年は、
自分の暮らしを再確認する大切な時間になりました。
国立で暮らせて、みんなのコンビニで少しでも働けて、本当によかったなと思っています。
この機会を作ってくださって、ありがとうございました!
このようなきっかけを作ってくださり、ありがとうございました!
北海道に来てくれる人が少しでも増えますように。
またいつか、どこかで。
池田
外から見たときと、内側から見たときのイメージは少し違います。そんな『国立暮らし1年目』だからこそ見えてくるものを綴るコラムです。