ライフスタイルがひろがる酒屋

ライフスタイルがひろがる酒屋

国立駅南口から徒歩1分。国立のまちの玄関口とも言える場所に、創業110年の老舗酒店『せきや』はあります。

「文化が醸成される場所には必ずお酒があり、人々の交流がある」

先代社長のこの言葉を指針に、歴史と挑戦を積み重ねながら「提案型の酒屋」であり続けてきました。ワイン、日本酒、ウイスキー、焼酎、クラフトビールなど、全てのお酒にはその土地の歴史や文化が色濃く反映されています。

一階と地下一階に売り場があり、170銘柄という東京・多摩地域でも有数の品揃え。2020年には国立市内にクラフトビール醸造所『KUNITACHI BREWERY -くにぶる-』、ビアレストラン『KASUGAI』を立ち上げるなど、新しい挑戦も重ねるせきや。一人ひとりのライフスタイルに寄り添いながら、国立らしい文化を醸成している老舗酒屋を覗いてみませんか?

せきや酒類販売株式会社

もくじ

老舗酒屋が伝え続けるストーリー

文化は、人が創るもの。まちの飲食店やカフェなどで言葉を交わしあう人々の中心には、いつも「食」がありました。なかでもお酒には、その国、その土地にしかない歴史文化が色濃く反映されています。

『せきや酒類販売株式会社』の代表、矢澤幸治(やざわ・こうじ)さんは、
「『せきや』は作り手へのリスペクトを持ち、飲み手に届けるためのアイデアを出すことを惜しまない、提案型の酒屋であり続けてきました。創業110年の歴史の中で、人々のライフスタイルは変わり、酒の楽しみ方も多様になっています。その中でも変わらない『せきや』の姿勢は、今のライフスタイルに合わせた新しい提案を重ねていくことです」と話します。

「提案には、リアルな体験にもとづく“経験値”が大切だと思う」と、スタッフの高橋さん。

高橋さんは、せきやの店舗スタッフを3年経験し、せきやと取引のある飲食店向けの営業職に転身。商店街の布団屋で生まれ育ち、いつか両親のように自営業をしてみたいと、大学では経済を学び、前職では不動産会社の営業をしていました。

「お酒に興味を持ったのは、卒業旅行先のドイツで、伝統的なケルシュスタイルのビールを飲んだ時です。その後、日本では本場のケルシュに近いビールをなかなか見つけられませんでしたが、2020年にせきや一階にオープンした『SEKIYA TAP STAND』で、くにぶるの『1926』を初めて飲み、“本場のケルシュに近い!”と感動しました。そこからお酒の世界にのめり込み、不動産会社からせきやに転職しました」

何よりも「経験値」を大切にする高橋さんは、タップスタンドのスタッフやくにぶるのアシスタントブルワーなど、社内で様々な経験を積んでいきました。やがて「職人のような作り手には自分は向かない」けれど、「お酒と食を楽しむライフスタイルを、作り手の想いとともに届けていきたい」と考えるようになりました。

現在は、せきやが得意とするワインの知識を深めるために、ワインエキスパートの資格取得に向けて勉強を重ねています。せきやでは、スタッフの資格取得に必要な教材や、『dancyu』などのライフスタイル誌を定期購読しているほか、サンプルや社割で様々なお酒を試すことができるなど、「お客様に伝えるための、リアルな経験値」を積むことができる環境を整えています。

「せきやには経験豊富で個性的なスタッフが揃っているし、未経験からでもそうなれる。他には替えのきかない人がいる、多摩地域でオンリーワンの酒屋だと言えると思います!」

「好き」を軸に生きる人

スタッフの能作さんは、新卒でワインの総合商社に入社。子育てを機に退職し、自宅の近くの職場で事務の仕事をしていましたが、もう一度好きな仕事をしようと、せきやで働き始めました。

「ワインに興味を持ったのは、高校時代の交換留学がきっかけです。ホームステイ先がたまたまオーストリアの有名なワイナリーで、日常の食卓風景にはいつもワインがあって、おすすめのワインを持ってパーティに出かけたり、ブドウ畑が広がる風景の中で過ごしたことが、すごくいい体験で……年齢的にワインは飲めなかったけれど、将来はワインに携わる仕事がしたいと思うようになりました」

作り手のそばで過ごした原体験、そしてワインの売り手として全国の生産者と接するうちに、「お酒を販売する仕事」がどんどん楽しくなり、好きになっていきました。

「カリフォルニアで日本人が立ち上げた、とあるワイナリーのエピソードに感銘を受けました。その方はブルゴーニュの高級ワインに感動し、作り手になることを夢見てアメリカ人の奥さんとお子さんを連れて渡仏しますが、フランスでは『日本人がつくるワインなんて、マボロシだよ』と言われてしまいます。その悔しさをバネにカリフォルニアに渡り、そこで『MABOROSHI WINERY』という名前のワイナリーを立ち上げて、夢を実現されたのです。そんな作り手の熱い想いや手間暇は、ただ棚に並べているだけでは伝わらない、伝えていかなければと感じるようになりました」

作り手との出会いを重ねるうち、ただ売り場に立ち、ワインを商材のように並べていたアルバイト時代には得られなかった情熱が膨らんでいきました。

「手をかけ、想いをかけ、人生をかけた作り手の思いを、売り手がどう伝えていくか。それだけで一本のワインが500円以下にもなれば、1万円以上にもなる。そんなポジションに私たちはいる。すごく大切な仕事なんだと気付いてからは、この仕事が本当に大好きになりました」

せきやでは、作り手の想いに触れることができる視察や、試飲会などの研修の機会も設けています。

「私は産地に伺う研修があれば絶対に行くようにしているし、売り場のみんなで行きたい。産地に触れて、作り手の想いを知ることは、『提案型の酒屋』には絶対に欠かせないことです」

令和のお酒の楽しみ方

スタッフの石山さんは、前職ではお酒の量販店で配達などを担当していました。石山さんは、海外の映画の影響でラム酒にはまり、ラムコンシェルジュの資格も取得するほどのお酒好き。やがて「お酒の知識をもっと深めて、仕事に活かしたい」と思い、せきやに転職。アルバイトから半年で正社員になりました。

「お酒には、世界中にある様々な土地の文化が現れています。嗜好品として楽しまれるだけでなく、生活必需品として受け継がれてきたもの、高額なものもあれば、庶民的な日常の食事に合うものまで様々です。このお酒は、現地ではどんなふうに飲まれてきたんだろう、そこにはどんな日常があるんだろう……そうやって多様な文化を理解していくことは、人として大切なことでもあると感じるようになりました」

例えば、日本ではお酒といえば夜の飲み物。一方、イタリアでは朝のコーヒーにグラッパ(蒸留酒)を少量入れて、血行を良くしてから仕事に向かう文化がありました。歴史を振り返ると、お酒は決して「酔っ払う」ためだけのものではありません。食事の楽しみ方を多様なものにしたり、日常を少し豊かなものにしたり、気分を明るくしてくれたり。自分は飲まなくても、その場の雰囲気を楽しむこともできます。

お酒の歴史や文化は、現代の「こうあるべき」という価値観を少し和らげてくれるようです。

せきやのスタッフはみんなお酒好きで、味わいの向こうに広がる生産者の想い、歴史や文化、ストーリーをいつも探求しています。

それを伝える時はお客様に寄り添い、「その人が主役で、お酒は脇役。その人が求めるシーンに寄り添うお酒を提案します(能作さん)」「伝統あるお酒でも、飲み方は自由でいい。高級ウイスキーもハイボールにしていいし、新しい楽しみ方を一緒に考えていきたい(石山さん)」と話します。

お酒を介して多様な人が集い、文化を醸成していく、オンリーワンの酒屋をともに作っていきませんか?

店舗情報

会社名
せきや酒類販売株式会社
HP
http://www.sekiya.co.jp/sake/
問い合わせ
042-571-0001 / order-sekiya@sekiya.co.jp

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東京都国立市中1-9-30

加藤 優 加藤 優

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