やぼな夜 第9話 ー人生の主役はいつも自分編ー [コラム]

やぼな夜 第9話 ー人生の主役はいつも自分編ー [コラム]

梅雨はいずこへ? 7月上旬の夕焼け空が綺麗な日、取材チームは数ヶ月ぶりに谷保駅へ集まりました。

日中とても暑かったこともあり、今宵は以前から気になっていたクラフトビールのお店『BEER CAFE NINKASI ニンカシ』さんへ向かうことに。谷保駅から歩いて2分くらいのところにあります。

到着すると店前に看板が立っていて、そこには『BEER CAFE NINKASI ニンカシ × La magie ラ・マジー カジュアルフレンチ』と書いてあり、何やらフレンチとコラボレーションしている雰囲気です。

クラフトビール飲み比べ

お店へ入ると、店主と思われる男性2人が迎えてくださいました。私が座ったテーブル席からはカウンターの向こうにあるビールサーバーがよく見えます。私がビール好きということもありますが、ビールサーバーが見えると高揚感というかテンションが上がります!

何を飲もうかなとメニューを開いて “Today’s Draft Beer” を見ると、この日は東京、神奈川、長野、気仙沼、名古屋、八戸、山梨、静岡の9種類の国産クラフトビールが載っていました。迷う……。

私たちが迷っていると、メニューの上から下に向かって軽いものから重目のものになっていることを店主の方が教えてくれました。私は重目のものが飲みたかったので、メニューの下の方から「八戸麦酒/フットプリント(オーツクリームヘイジーIPA / 5.8% / 青森県八戸市)」、他のメンバーは上の方から「横浜ビール / ヴァイツェン(ヴァイツェン / 5.5% / 神奈川県横浜市) 」と「ブラックタイド / ファブルメーカー (ラガー / 6% / 宮城県気仙沼市) 」をオーダー。

食べ物は、本日のおすすめから「真鯛のカルパッチョ」「トマトとコーンのパスタ (リングイネ) 」、お店自慢の一品「マッシュポテトの極み」「パテ・ド・カンパーニュ」を注文。

早速ビールが届き、乾杯!!
最高であります。

「八戸麦酒 / フットプリント」は少し濁った見た目で、口に含むとまろやかかつ良い苦味があり、その先にはグレープフルーツのようなさっぱりさがありました。美味しい。青森出身者として、この谷保で青森でつくられたものを飲めるのは嬉しいことです。色々な味わいが楽しめるクラフトビールは、みんなでシェアして感想を言い合うのも楽しいもの。「横浜ビール / ヴァイツェン」はスッキリさっぱり飲みやすく、少しバナナのような香り。「ブラックタイド / ファブルメーカー」は、柑橘のような香りが口に広がり、どれも美味しかったです。

B'zのプロフェッショナル

本日の取材には、取材メンバーの加藤さん、優さんに加え、俳優の裕美(ひろみ)ちゃんも初参加。皆、だいたい同年代ということで、話が盛り上がりました。この日、私たちの他にはお一人で来られている方が多く、皆さんカウンターに座られていました。おそらく常連さんなのでしょう、店主のお2人とも楽しげにお話されています。

実は、お店に入ってからずっと気になっていたのが、B’zが流れていること。有線の懐メロチャンネルかな、と最初は思ったのですが、時々今の歌が混ざりつつもB’zが多いので、店主さんが好きなのではと推測。料理を持ってきてくださった時に聞いてみると、2人は兄弟で、2人ともB’zが大好きなのだとか。私が一番好きなのは「LOVE PHANTOM (1995) 」です……と言いたかったけれど、おそらくお2人はB’zプロフェッショナルだと察したので控えました。

「お店やられて何年くらいになるんですか?」

そう質問してみると、ニンカシとしては9年くらいになるけれど、以前は女性が店主をしており、その頃からお兄さんがキッチン (イタリアン) に入っていたのだとか。その後代替わりして引き継いだそうです。一緒に営業している弟さんは元々フレンチの料理人で、弟さんの店名 『La magie ラ・マジー』も看板に表記し始めたそう。なんと本格フレンチお任せコースもあるそうです(3日前要予約)。

料理はどれもビールと合って非常に美味しかったです。「真鯛のカルパッチョ」は見た目も美しく、さっぱりとしていて美味。これからの季節に合います。マッシュポテトも濃厚で非常になめらかでした。

ビールはいつの間にか進み……

美味しいビールと料理に、取材チームの話も弾みます。

仕事をしていると、いろんな人、団体、組織、地域などと関わりながら生きているわけで、その中での自分の役割を見極めたり選択しながら動くことが多くなるのは普通のことだし、それが働くことでもあると思います。キャリアや経験を重ねてくると、「今ある舞台で自分が主役になるばかりではなく、新しい舞台を作る側になって後進に譲りたいと思う」という話題も。ただ自分のことで言うと、私がダンスを踊ったりつくったりしていることは、社会への表現の提示であると同時に、絶対的に自分自身のためでもあります。小さい頃から踊ってきた身として、ダンスは生きるために必要なことであり切り離せないもので (理由を尋ねられても言葉にできないことなのです)、でも年齢を重ねてくると、こういうことをどんどん言えなくなっていきます。誰かから求められることにこたえることも大事だけれど、その中でも自分が求めることに密かに貪欲になることで、その先に、今の自分がまだ知らないことが見つかるかもしれないね〜、と皆でしみじみ話しました。

そこでビールを運んできてくださった店主 (お兄さん) にいつもの質問をしました。

「谷保ってどんなところですか?」

「隠れた名店が多いですよね」というお返事。素敵な名店情報もいただいたので、今後の『やぼな夜』に活かします!

店主2人のご実家は国立より西のエリアということで、谷保は地元ではないものの、お店を営む中でお兄さんは国立へ引っ越されたのだとか。カウンターに座っていた常連さん (谷保で生まれ育ち今も暮らしている) も、かつては谷保村(やぼむら)で畑が多かったこと、JRの駅名は「谷保(やほ)駅」だけど、地元の人は今でも谷保のことを「やぼ」と呼ぶこと、昔も今もとても住みやすいことなどを教えてくださいました。

世界を旅するスナック

近所にフラッとひとりで入れるこんな素敵なお店があるっていいな〜、という裕美ちゃんに激しく同意しました。QOL=Quality of life(クオリティ オブ ライフ) 生活の質、生命の質にとても関係のあることだと思うのです。

「BRACINE ブラシーヌ・ペールエール」は瓶の形も可愛くて、お花のような良い香り。口当たりはまろやかで、フレンチフライとの相性も最高です。なんと、日本で終売になってしまったらしく、お店にはあと3本くらいしか無いのだとか。ラッキーでした、頼んで良かったです!

本日の締めに、ものすごく美味しい「トリュフリゾット」をいただきながら、みんなでこれからの野望について熱く語り合いました。優さんが「木村さんはスナックをオープンしているんだけど、代理ママにお店を任せて自分は海外で踊っていて、今はこの国にいるらしいよ〜、とお店で話題になっていそう」と言ってくれて、そんな将来もいいな〜と思った次第です。『スナックどこかに居ます』オープンしたら来てくれますか?(笑)

実はこの『やぼな夜』は、私がスナックに行きたいという話を加藤さんにしたことから始まったのでした。次回は第10夜のアニバーサリーということで原点に戻り、スナックへ伺うやもしれません。乞うご期待です。

第9夜『BEER CAFE NINKASI ニンカシ × La magie ラ・マジー』さんにて、美味しいビール、お料理、ありがとうございました! 帰りに弟さんが「B’zを聴きながら美味しいフレンチが食べられるのはうちだけですよ!」と言ってお見送りしてくださいました。B’z好きの方も必見です。

ちなみに、お店のホームページを見て知ったのですが、店名である『ニンカシ』は、メソポタミアに伝わるビールの女神の名前だそうです。『口を満たす』という意味を持つという説があるそうで、その意味の通りに、満たされた夜となりました。

何歳になっても、自分の人生の主役というプレイヤーでいたいものです。

第10夜へ続く。

(取材 木村玲奈 / 編集 国立人編集部)

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「やぼってどんな場所?」を探るべく、谷保の夜へ繰り出します。

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