「今日も良い日だったな」
国立に住み始めて、ふとそう思うことが多くなりました。
国立駅南口から谷保・矢川方面へのバスに乗ると、一つ目に『一橋大学』という停留所があります。ここで降りるとまず目に入るのが、国立市を代表する大学、『一橋大学』です。
そしてその先には第1回のコラムで紹介した、『桐朋学園』のある『桐朋』、そして『国立高校』のある『国立高校前』が続きます。このように、大学通りには学校の名前に因んだ停留所が連なっており、国立の街には日ごろからたくさんの児童、生徒、学生が集まります。
『一橋大学』はその名前の通り、創立当初は東京都千代田区の神田一ツ橋の地にありました。1927年の関東大震災の影響で校舎の大半を失ったことから、その当時開発途上にあった国立へ移転することとなり、大学を中心に据えた『国立大学町(くにたちだいがくまち)』として開発やまちづくりが進められていったそうです。
そうして時は流れ、今でも国立大学の名門として、国立の街のシンボルになっています。
ここに来て間もない自分ですが、ひとつひとつの出来事を知ることによって、普段何気なく歩く大学通りでも昔の情景が浮かぶ、一風変わった散歩道となりました。
駅前に繁華街などがなく、「文教都市」としても有名な国立ですが、この街づくりは静かな住環境を守りたいという住民たちによる「文教地区指定運動」の結果だということも知りました。
国立の街を歩き、バス停の名前をきっかけにその裏側に積み重ねられてきた歴史を知ることで、何気ない街の風景でも多くの方々が尽力して守ってきたのだと実感することができます。
そして大学通りを通るたびに、ますます国立は落ち着いていて大型施設もなく、緑の多い「透き通った街」だなと感じるようになりました。
「今日は憂鬱だな」、「足取りが重いな」
まだまだ慣れない新生活で、仕事でも暮らしでもそう思うことは沢山あります。
そんな時、国立の方々に支えられて守り続けられている中の一つ、『大学通り』。この真っ直ぐ続く道を歩きます。
心の中を整理しながら少し立ち止まって深呼吸をすることで、「まだ自分にできることはたくさんある!」と前向きに見つめ直すことができるのです。
そうするときっと今日より明日はいい風が吹くような気がして。
自分にしかできないことって一体どんなことなのでしょうか。小さなことから沢山の人で支えられているこの街を私も支えていきたいです。
そんなことを考えながらまっすぐ伸びる木のように背筋を伸ばし、私は今日もこの街を緩歩します。
(国立人編集部)
外から見たときと、内側から見たときのイメージは少し違います。そんな『国立暮らし1年目』だからこそ見えてくるものを綴るコラムです。